カテゴリー別アーカイブ: ハウス

1室の支配星の在住する意味

洋書『Elements of VEDIC ASTROLOGY』からの意訳メモです。

注意)古典からの内容なのでそのまま字義通りに受け止めることはできません。ホロスコープ全体を見て、現代とその人物にあった解釈が必要となります。これはあくまで参考程度に考えてください。

1室の支配星がそれぞれのハウスに在住するときの意味。

1室:健康、長生き、勇敢、思慮深い、とても気まぐれ、2人の妻を持つ、姦通、土地の財産からの利益を得る。

2室:学識がある、繁栄、宗教的傾向、長生き、酒を飲まない、自尊心、何人かの妻がいる、たくさんの徳に恵まれる、土地や馬から稼ぐ。

3室:とても勇敢、ライオンのよう、繁栄、賢い、自尊心、2人の妻を持つ、弟妹に恵まれる。

4室:母親からの恩恵を得る、何人かの兄弟姉妹を持つ、感性が鋭い、徳がある、容姿が良い、長寿、父と母へ献身する、少食。

5室:怒りっぽい、誇り高い、支配者からの栄誉を得る、子供からの喜び、第1子は生きられない、長寿、徳のある行い。

6室:健康、敵を破壊する、過度に倹約する、お金持ち、土地から稼ぐ。もし、傷ついていれば、不健康、敵によるトラブル。

7室:優秀、美人で気立ての良い妻。もし、ラグナの支配星が生来的凶星なら:妻がいない、孤独、貧乏か王様、外国を彷徨う。

8室:長寿、富を蓄積する、不健康、姦通、盗み癖、ギャンブラー、怒りっぽい、スピリチュアルな追求に良い。もし、8室の支配星が生来的凶星なら、目の病気に苦しむ。もし、吉星なら容姿が良い。

9室:幸運、学識がある、みんなに愛される、ヴィシュヌ神を崇拝、慈悲深い話し手、妻と息子と富を授ける、とても有名。

10室:学識がある、支配者からの栄誉、父からの幸運、自分自身の優れた能力によって名声と富を得る。

11室:たくさんの利益、教養がある、複数の妻、有名、長寿な子供、快適な暮らし。

12室:身体の快適さがない、価値の無い追求に関心がある、外国に住む。もし、有益な絡みやアスペクトが12室になければ:無駄な浪費、怒りっぽい。良いアスペクトや絡みがあれば、傷つきは減る。

 

本人に関係する人物の性質を見るには。

インド占星術では本人だけでなく、家族である父親、母親、配偶者、子供、兄弟姉妹などの本人に関係する人物の特徴を読み取ることができる。
それは母親の性質を見たければ、4室と4室の支配星と月を見るとわかる。実際、検証していくとその人物を表すハウスの支配星が行った先が、その人物の特徴をよりはっきり表しているのを感じる。母親の場合は4室の支配星が在住している星座の性質、4室支配星にコンジャンクションしている惑星や4室支配星にアスペクトしている惑星の性質になる。
スティーブ・ジョブズ ホロスコープ
たとえば、スティーブ・ジョブズのホロスコープでは4室の支配星は牡羊座に入り、土星のアスペクトを受けている。そして、海王星も4室の支配星と緊密なアスペクトを形成している。
だから、母親は牡羊座の性質と海王星の性質と土星の性質を持っていることが推測される。牡羊座のエネルギッシュさを持ち、海王星の感受性の高さや愛情深さを持ち、土星の忍耐強さを持っていると考えられる。
もちろん月の状態も母親を表しているので、月の状態も見る。月は魚座に在住しているので魚座の感受性の高い人物であることが推測される。
その人物を示すハウスに入っている惑星の性質も重要だが、多くの場合、それ以上に支配星が行った先が、本質的にその人物の特徴をよく表していることが多い傾向があるので、皆さんもご自分のホロスコープで検証していって見てください。

ハウスとは

インド占星術ではハウスという概念があります。アセンダントの入るハウスを第1室と呼びます。そして、時計回りに順に第2室、第3室・・・・第12室という風に割り振っていきます。
それぞれのハウスには意味、テーマがあります。そこにどんな惑星が在住するかによってそのハウスのテーマを読んでいくことができます。
以下が12ハウスの簡易象意表です。
→ 12ハウス象意表(簡易版) 
ハウスにはたくさんの意味があり、そのハウスのどのテーマを読み解くかそれは総合的な判断力、経験が求められます。
例えば、第12室には不倫と悟り、投獄、陰謀というあまりにも相容れない全く違うテーマが割り振られています。
そのどれが出てくるかという判断は最初のうちは難しいものです。
全体的に性的な欲望の強く不道徳なホロスコープでは不倫というテーマが出てくるかもしれません。不道徳で暴力的な傾向の強いホロスコープでは陰謀を企てたり、投獄されるかもしれません。精神性の高いホロスコープでは悟りに向かうとても神秘的な体験をするかもしれません。
このハウスにどの惑星が入ったら、どんな意味を持つのか。簡単な所では人生のテーマを読むというのがあります。それについてはこちらの記事を参考にしてみてください。
インド占星術での人生のテーマの簡単な読み解き方

インド占星術での人生のテーマの簡単な読み解き方

今日は人生のテーマの簡単な読み方について説明したいと思います。
1.ラグナの支配星が在住するハウス
ラグナの支配星が在住するハウスが今世での中心的なテーマになります。例えば、ラグナ支配星が第10室に入っていれば、今世では社会的に働くことが中心テーマになります。第10室が良い人は社会的な使命をもって生まれてきています。
2.月の在住するハウス
月は心を表します。月の在住するハウスのテーマが今世で心引き寄せられるテーマになります。そのテーマをに没頭していると心が休まったり、安心したりします。
3.ラーフの在住するハウス
ラーフは飽くなき追求の惑星です。ラーフが在住するハウスのテーマを飽くなき追求していきます。行き過ぎじゃないかと思えるほど徹底的に追求していきます。例えば、第9室に在住すれば、道徳性や精神性の向上を徹底的に追求していきます。
4.第5室支配星の在住するハウス
第5室は自己実現のハウスです。第5室の支配星が在住するハウスが自分が自己実現していくことのテーマです。
5.惑星集中するハウス(3つ以上)
惑星が在住するハウスはそのハウスのテーマに意識が向かいます。逆に惑星がないハウスは今世であまり意識の向かうことのない関心の薄いテーマです。惑星が集中するハウスは今世で中心的なテーマになります。例えば、第7室に惑星が集中していれば、パートナーと関係を結ぶことが人性で中心的なテーマになります。
さて、今世のあなたのテーマは何ですか?
これで、今世の生まれてきた意味のヒントがつかめるかもしれませんね。
ホロスコープから人生のテーマを読みといてみましょう!

第12室は手放しのハウス

インド占星術で第12室はドゥシュタナハウスの一つであり、損失や苦悩、入院、投獄などネガティブな象意が目立ちます。
しかし、第12室はスピリチュアルな意味でとても大切です。第12室のダシャーをどう過ごすか、その人の徳次第というところもあります。第12室は苦悩からの解放、神秘的な知識、解脱、悟り、心理学、ヒーリングなどの意味もあります。もし、第12室を自らの意思で自我を手放すために使うならば、第12室の時期は大変実りの多い時期になります。
瞑想をする、トラウマなどの心の問題を解決するセラピーを受けるなどをして過ごすといいでしょう。カルマの発現する時期は同時にカルマを解消する時期でもあります。
インド占星術は運命があることを明らかにします。同時にそれはカルマを解消する手法によって、乗り越え成長し変えることができます。
第12室のダシャーは誠実な努力をする者にとって最大のチャンスの時です。このダシャーは何かを失うかもしれません。しかし、それら物質的なものや怒りや不安、欲望、エゴという内的なカルマを手放した時に大きな実りが得られます。
第12室は何かを失う時ではなく、何かを手放すことによってカルマを解消し、より大きな喜びと幸せを得る時期にしましょう。
ちなみに私はマハーダシャーの支配星から12室に金星(おうし座)のあるダシャーを過ごしていますが、ヴィパッサナー瞑想を日々することで内的な成長と喜びをとても実感しています。第12室のダシャーはチャンスなんですね。

第1室から読み取れること

第1室は自分自身を象徴する最も重要なハウスです。第1室から様々なことが読み取ることができます。
◆ 性格と資質、才能
第1室の星座は自分自身の性格、資質、才能を表します。もし惑星が第1室に入っていたら、その惑星の性質も強く帯びることになります。アセンダントの度数に近い惑星ほど強い影響を及ぼします。また、第1室の支配星の在住する星座の性質とその支配星に影響を与える惑星の性質も自分自身の性質に影響を与えます。
◆ 幼年期の環境
第1室は幼年期の環境を表します。土星がもし在住していたら、幼年期は抑圧された困難な環境であることを表しています。木星が在住したりすれば、伸び伸びとした恵まれた環境を表します。幼年期の環境がその人の性格、気質に大きな影響を与えることを意味しています。
◆ 肉体の健康
第1室に凶星の影響が強いと健康面の損ないやすくなります。機能的な吉凶に関わらず、凶星は健康面に悪影響を与えます。それはなぜかというと凶星は頑張る惑星だからです。頑張るということはストレス、肉体に負荷がかかります。例えば、土星であれば忍耐強く頑張ります。火星であれば情熱的にアクティブに頑張ります。凶星が入ると頑張り屋さんですが、健康面ではそのストレスのために病気になりやすくなります。吉星が入ると気質はおおらかになり、無理をしないため健康面には恵まれます。
◆ 人生の方向性
第1室の支配星が入るハウスが人生の方向性を決めます。例えば、第9室に在住すれば精神性を向上させることが人生の重要なテーマになります。第10室であれば仕事、第8室であれば研究など在住するハウスの象意が人生において重要なテーマとなります。
◆ 仕事
第1室の星座とそこに影響を与える惑星から資質、才能がわかるので、その能力を生かした仕事が向いた仕事になります。
◆ 幸福
吉星の影響が強ければ、性格はおおらかになり、人間関係も良好となり幸福感を与えます。凶星は頑張る人になりますが、ストレスも多く、人と調和的な関係を築くことが難しくなります。
◆ 容姿
星座の特徴を持った容姿になります。特に吉星の影響が強いと容姿に恵まれます。金星は美の惑星なので大変容姿に恵まれます。トリコーナの支配星も容姿に良い影響を与えます。水星は少年少女のような若々しい容姿を与えます。火星は筋肉質な逞しい肉体を与えます。
その他に、家柄や家系、出生地、住居なども表します。
第1室には吉星やトリコーナの支配星が入ることが望ましい影響を与えます。凶星が入ることはあまり望ましくありません。しかし、第1室だけで人生のすべてが決まるわけではないので、第1室に凶星が入っているからといって嘆くことはありません。恵まれない環境に生まれても、それを克服するために成長してゆくこともできるからです。第1室は人生の始まりにおいて重大な影響を与えますが、それは努力次第で克服できるものです。

第1室と第9室の絡みは家柄の良さを表す

家柄の良さ、家系の良さはインド占星術の中でどのように表されるか検証してみました。明らかに家柄がよく、しかも出生情報が正確にわかっているという条件で見ると日本の天皇家があります。
それを検証していくと見事に出ていました。家柄の良さは第1室と第9室の絡みにあります。第1室は家系や家柄、出生に関係します。第9室は最高のトリコーナハウス、幸運のハウスです。第1室に第9室が関係すると家柄に恵まれます。そして、それが確実に良いものであるには友好敵対関係とナヴァムシャが重要であることもわかりました。実際、惑星間の関係性は中立以上でその多くは友好関係にありました。更にそれがナヴァムシャでも再現されていました。
◆ 明治天皇
明治天皇D1-D9
・出生図
第1室支配星の土星は第4室に在住し、第9室支配星の水星と相互アスペクトしている。土星にとって水星は友好惑星です。
・ナヴァムシャ
第1室支配星の水星は第1室に在住し、第9室支配星の土星から逆行のアスペクトを受けている。水星にとって土星は中立惑星です。
◆ 大正天皇
大正天皇D1-D9
・出生図
第1室の支配星太陽が第12室に在住し、第9室支配星の火星のアスペクトを受けている。太陽にとって火星は友好惑星です。
・ナヴァムシャ
第1室の支配星が第4室に在住し、第9室の支配星火星からアスペクトされている。金星にとって水星は友好惑星です。
◆ 昭和天皇
昭和天皇D1-D9ホロスコープ
・出生図
一見すると第1室に第9室は絡んでいません。その代わり幸運の木星が定座で在住しています。そして、部分アスペクトを考慮するならば、第9室の支配星の太陽が第1室に50%の影響力を及ぼしています。それに加えて第1室の支配星にも50%の影響力を及ぼしています。第1室と第1室支配星への影響を合わせると50%+50%=100%の影響力があります。部分アスペクトを考慮すれば第1室に第9室のアスペクトがあることがわかります。
・ナヴァムシャ
第1室と第1室支配星に第9室を支配する土星がアスペクトをしている。第1室支配星の金星のとって土星は友好惑星です。
◆ 今上天皇
今上天皇D1-D9
・出生図
第1室に第9室の支配星の太陽が在住している。太陽にとっていて座は友好星座です。
・ナヴァムシャ
第1室の支配星の金星が第3室に在住し、第9室の支配星土星とコンジャンクションしている。金星にとって土星は友好惑星です。
まとめ
第9室は最強のトリコーナハウス。それが第1室と絡むと家柄に恵まれるんですね。それがより確かなものであるには惑星間の友好敵対の関係やナヴァムシャでの再現が重要なります。
第9室がどの惑星やハウスと絡むか、人生の幸運を見る上で重要なポイントです。人生の良い面を知りたければ、第9室に関わるハウスや惑星に注目してホロスコープを読みといてみましょう。

第11室とマイミクの多さ

いろんな人を鑑定してきて、一つ気づいたことがあります。第11室(友人、願望成就、社会的評価、名声、ネットワーク、収入)が強い人はマイミクが必ず多いということです。少なくともマイミクが100人以上います。200人、300人は当たり前のようです。
第11室が強いというのはトリコーナの支配星が入っていたり、惑星集中していたり、高揚の惑星が入っていたりするるということです。
夢を実現していく人は多くの人に評価され、友人がたくさんいる人なんだなと思う。友人のネットワーク、支えがあるから、大きなことができるんですね。

口は運命を左右する!?④ インド占星術的な考察

さて、これまで三回にわけて書いてきたがインド占星術的に考察してみたい。
インド占星術では第2室が言葉、スピーチ、食事、顔、収入、同居する家族との関係などを意味する。
以下のように、それぞれの惑星の影響があると、それぞれの特徴が現われてくる。
●吉星
木星・・・声の質が良い、快い話し方、大きな声、正直、嘘がつけない、菜食、健康食、裕福、長寿、気前がいい
金星・・・幸運、教養がある、良い家族、裕福、甘党
月・・・優しい言葉、裕福、幸福、大家族、口数が少ない
水星・・・雄弁、賢い、裕福、若々しい顔、良い食事
●凶星
太陽・・・口論、口の災い、歯が悪い、近視、家族との口論、裕福
ケートゥ・・・嘘つき、無口、不明瞭な言葉、小食、歯・歯茎の病気、不健康な生活
ラーフ・・・話し好き、おしゃべりが止まらない、口論、歯・歯茎の病気、愛嬌、お酒やドラッグ・肉食を好む
火星・・・攻撃的な言葉、酒好き、暴飲暴食、虫歯、家族との口論、富が得にくい
土星・・・きつい言葉、不正直、貧しい、家族と口論、嘘つき、無口、暴飲暴食、歯・歯茎の病気
実際には複数の惑星の影響があったり、いろいろな条件があり、このように単純ではない。しかし、大きく分けて2つに分けて考えることができる。第2室に吉星が入るか、凶星が入るか。
第2室に凶星が入るとき、言葉遣いに問題があり、暴飲暴食、同居家族との関係は悪くなる。そして収入にも問題が出てきてしまうのだ。更に第2室に凶星が入るということは寿命と苦悩の第8室が傷つくことになる。つまり寿命が短くなり苦悩も多い、ということになる。
第2室に吉星が入るとき、言葉遣いが良く、良い食べ物を食べ、同居家族との関係は良くなり、幸福である。そして、収入運も良くなるのだ。更に第8室に吉星の影響が出るので、寿命は長くなり、苦悩も少なくなる。
やはり、インド占星術の星の法則・論理から考えても言葉遣いが良いこと、良い食べ物を食べることは、家族との関係が良く、幸福であり、寿命も長くなるという傾向があるということだ。やはり、人生を幸福に生きるには”食事”と”言葉”はとても大切なのだ。
運命を変える方法は”口”にまつわることだけではない。しかし、ここを意識するのがどれだけ大切なことかを、自分で書いてみて改めて感じた。これからはもっと”口”に意識を向けていこうと思う。運命はあるが人生は自分で創りあげていくものなのだ☆

心の安定と幸せとは? - インド占星術 第4室の考察

農村風景
とあるワークショップを受けていたときに第4室について考えさせられることがあった。現代の社会では仕事のできる人、できない人とわけられることがある。できない人には社会の中で居場所を失うことになる。そうすると収入の道が絶たれてしまい、心が不安定になってしまう。それは現代において、食べていけるということが基本的にお金に基盤をおいているからだ。
しかし、本当は食べていけるかどうかは文字通り、食物を得られるかということだ。それは大地に根付き、農作物を育て、それを食するということだ。これは現代社会において、仕事ができない人と言われている人でもできることであるはずだ。農作物を育てることが、人間の生きていく基盤となり、それが心の安定につながっていくのではないだろうか。
それがインド占星術では如実に示されていることがわかる。第4室は心の安定を意味するハウスだ。第4室は同時に大地、農業、家庭、コミュニティ、幸福、母親を意味する。ということは大地を耕し、農作物を育て、家庭を築き、コミュニティを形成することが心の安定につながり、それが結局は心の幸せにつながっていくということなのだ。
現代社会において、多くの人が心の安定を失い、不幸せな思いをしているというのは大地とのつながりを断ち切った生き方をしているからなのではないだろうか。やはり、すべての人とは言わなくても、人間は基本的に大地と繋がって生きていくことで幸せになれるのではないのだろうか。
大地とはようは地球のことだ。現代文明、資本主義消費文明は自然や大地を破壊してまで経済発展を求めていくが、それは占星術で考えても決して幸せになることはないことを気づかせてくれる。
インド占星術は生きていく上で本当に必要な哲学や叡智、気づきを与えてくれるものだということを最近つくづく感じさせられる。大地とつながる生き方を目指していこう!