インド占星術を教えたり、鑑定したりしているとマハー・ダシャーの土星期が来るのが怖いという方がよくいます。それはインド占星術を理解していない誤解だったりすることも結構多いのでここでお伝えしたいと思います。
土星は生来的に最も強い凶星で、困難な時期を表します。なかなか人生が思うようにいかない試練があったり、病気が発症したり、義務が与えられてとても忙しかったりと大変な場合も確かにあります。
ただ、すべての人がそうなるというわけではありません。例えば、天秤座アセンダントの人は土星期は最高に良かったりします。その前の木星期よりよかったりします。なぜなら、4室と5室を支配するラージャ・ヨーガ・カラカで人生の成功の時期になるからです。特に5室は幸運なハウスであり、自己実現できる最高の時期になったりします。天秤座アセンダントの土星期は本当に素晴らしいものです。
また、土星が1室、5室、9室の支配星だったり、これらのハウスに在住すると土星期も良いことがおきます。
でも、それでは、それ以外の人は・・・・・となってきます。確かに土星期は怖いです。私自身が実際そうでした。15年前インド占星術を学び始めたときに41歳で土星期がやってくるというのが、とても恐怖でした。しかし、インド占星術をとことん学び、土星期が来るのを受け入れる、これも宇宙の計画、魂の計画だと受け入れることで、さも他人ごとのように客観的に考えられるようになって、その不安はほとんどなくなりました。
私の土星はどんな状態かというと1室支配星であるということは良いのですが、8室に在住し、星座の境界からわずか0度16分しか離れていないしし座のガンダンタにあります。しかも敵対星座であり、総合的に辛辣な敵対関係にあります。そして、吉星のアスペクトによるサポートもありません。
そして、ナヴァムシャではこれまた8室に在住し減衰し、しかもラーフとコンジャンクション。やはり吉星のサポートなし。んんん・・・どう考えても悪い。
実際、忘れもしない2006年の木星/土星期は人生最悪の年の一つでした。自宅でタイマッサージ・サロンをやろうとしてうまくいかず、出費がかさむばかり、アルバイトを探すもすぐ首になること2回。パートナーとの関係もうまくいかず、うつの局地で、人生どん底という言葉がぴったりの時期でした。
ですから、41歳でやってくる土星期が良いわけがない。今現在の土星/土星/水星期ですが、来てみてわかったことは、ちゃんと対策をすれば結構大丈夫だということです。
大丈夫というより、結構幸せを感じるくらいです。ただ、このコロナ禍、そんな仕事がそんなうまいこといくわけがありません。私の講師業というのはモロに影響を受ける仕事で、しかも自営業です。8室と土星の困難はやっぱり予定通りやってきました。
ここで改めて、インド占星術の大家でヨーガ修行者でもある、K.N.ラオ先生の言葉を思い出します。
占星術家も、占星術の限界について理解する必要があります。スリマッド・バガヴァータムには、このように書かれています。
「もし幸福と不幸の原因が惑星だとするならば、どうやって惑星が永遠の存在である魂に影響を与えることができようか? 惑星は、生と死の支配下にあるこの肉体にしか影響を与えることはできない。惑星が引き起こす苦痛は、肉体にしか降りかからない。魂は惑星の影響を超えている。だとすれば、人は怒る必要はないではないか。」
占星術家が凶星の影響を読み取って、いくら恐ろしい予言と運気の変化を指定しても、真に宗教的な人の幸福には全く影響を与えません。
結局の所、星は物質世界の現象に影響を与えたとしても、それを受け止める魂が、その困難を受け止められるレベルに成長していれば、幸福を感じて生きることができるということです。
私は、この土星期に向けて、様々な準備をしてきました。主なものに次の3つがあります。
・マクロビオティックによる身体の健康管理と食生活による心の安定のコントロール
・成功哲学、コーチング、メンタリングによる自立型人間の思考の仕方、マインドセット、前向きな思考法
・ヴィパッサナー瞑想による心を鎮め、心を穏やかに保つ、魂の浄化
これらのお陰で、精神が不安定になり、怒りや不安に支配されるような食事をせず、困難な状況を乗り越えるための思考をし、毎日2時間の瞑想で、心をいつも良い状態、幸福な状態に保つようにできています。
もし、私が以前の土星期から何も成長しておらず、これらのすべを知らなかったのなら、仕事はうまく行かず、経済的に困窮し、夫婦関係最悪で離婚の危機、子供との関係悪化で家庭崩壊に陥っていたことでしょう。もし、今私が食生活を乱し、瞑想をすることを止めたなら数日?数週間のうちに、仕事の不安、思い通りにならない夫婦関係にさい悩まされることになり、不幸な人生になることは間違いありません。
ですが、ちゃんと瞑想をして自己を律し、心を穏やかにして魂とつながっている限りは幸福でいることができます。
今以上に大変なことが起これば、幸福でいられるとは言えませんが、こうしたことを知らなかったときに比べれば、乗り越えることは容易にできるでしょう。
そして、もし、2007年の大変だった土星期にこれらのことをすべて知っていて実践していたのなら、全く問題なく幸せに生きられたのだと思います。当時は本当に人生のどん底に思えるようなことでしたが、成長した自分であればどうということはないことなのです。
もし、あなたが土星期が怖いと思うなら、様々な運気を上げると言われる方法より、人間として成長することが最高の解決策です。それは今後の人生全てに渡って有効な方法となります。人間としての成長が多くの問題を事前に回避し、起こさせない。そして起こっても解決することができる。それが真に運気を高めることになります。そして、運気という自分の力ではコントロールできないものからの苦しみを受けない方法なのです。
人間としての成長が、どんな人生であっても幸福に生きるための根源的な解決法です。