
次のホロスコープの方は木星/ラーフ/月期に胸膜炎になりました。胸膜炎は肺を覆う胸膜に炎症が起こり、水がたまる疾患です。それによって、呼吸困難、高熱、倦怠感などの症状がでます。
それではなぜ、胸膜炎になったのでしょうか。それは出生図の月が海王星からのオポジション180度のアスペクトを受け、しかも1度9分という極めて緊密なオーブのアスペクトで傷ついていることによります。月の傷つきは胸膜炎を引き起こします。海王星のアスペクトはウィルスや細菌による感染症を引き起こし、身体の水分量に影響を与えます。身体の水分量に影響を与えるというのが胸膜に水がたまるという症状を引き起こしましたと考えられます。
インド占星術のハウス単位のアスペクトでみた場合には月は土星の10番目のアスペクト、ラーフの9番目のアスペクトを受け、肺の弱さがみられます。
それでは、なぜこの時期に病気を発症したのでしょうか。マハー・ダシャーの木星は12室を支配し、6室に在住し、ムリチュ・バーギャの度数域にあり、傷ついています。また、ラーフ・ケートゥ軸と1度以内の緊密な90度アスペクトを形成し、非常に傷ついています。ラーフ・ケートゥ軸は感染症を引き起こします。
病気になったホロスコープを検証していると1度以内の度数で凶星と凶アスペクトを形成していることがとても多く見られます。木星/ラーフ期は病気になると断言はできませんが、占星術的には病気になる可能性がとても高い時期になることがわかります。
ちなみにマハー・ダシャーとアンタル・ダシャーを逆転したラーフ/木星期の幼少期に麻疹(はしか)にかかっています。ラーフの感染症の影響がそのまま、現れていました。
プラティアンタル・ダシャーの月は海王星と180度、冥王星と120度、土星からの10番目のアスペクト、ラーフからの9番目のアスペクトを受け、とても傷ついています。特に海王星のからの緊密なアスペクト受けているため、このマハー・ダシャーとアンタル・ダシャーが悪かったために、胸膜炎という疾患という形で顕在化しました。
この胸膜炎が発症したときのトランジットを見ると6-12軸に凶星が集中しています。
土星は12室の射手座、火星は6室の双子座、ラーフ/ケートゥは射手座と双子座で6-12軸にあり、出生の12室支配星の木星と6室、12室を傷つけ、6室の急性疾患と12室の入院という現象を顕在化させるトランジットになっています。また、月ラグナから見た時に土星は8室に入り、アシュタマシャニーであり、最悪のトランジットになっています。
そして、トランジットの海王星が2度以内の緊密な度数で月に対して90度アスペクトを形成しています。
以上のことから、ダシャーとトランジットの両方で病気が顕在化する時期として明確に現れていました。
この時期の心理面を分析するとアンタル・ダシャーのラーフの影響を強く受けていることがみてとれます。ラーフは混乱や恐怖心、現世的な欲望を表す惑星です。ラーフの影響から様々な問題が発生し、混乱や恐怖心の感情に心を支配され、ストレスから免疫力が低下し、胸膜炎を発症するに至っています。病は気からというように、凶星が与える心理的なストレスが病を引き起こす大きな要因になっています。
けれども、病院で自分の力では何もできない状態になって気づいたこと。それは未来を心配して、不安や恐怖から行動しても意味がないということ。
自分のできることを精一杯して、自分の力ではどうにもならないこともたくさんある。自分の努力してきたことを信じて、後は天のはからいに任せるということでした。
そう思える今、とても気持ちが楽になりました。困難は人を成長させてくれますね。
身体的にはこんな状態でしたが、一方でラーフは9室に在住し、幸運であり、身体的・心理的には問題があり病気を引き起こす要因になりながらも、9室の幸運、功徳によって守られていました。
今回は、医療占星術についての検証でした。医療占星術について学びたい方のために、セラピストのためのインド占星術講座をしています。
ここでは書ききれない、スークシュマー・ダシャー、プラーナ・ダシャー、D60分割図、秒単位の時刻修正などを講座の中で取り上げています。