土星/ケートゥ期──悪いダシャーにおいて自由意志はいかに使えるか

土星/ケートゥ期──悪いダシャーにおいて自由意志はいかに使えるか

村上幹智雄 -ミチユウ-
村上幹智雄 -ミチユウ-

土星/ケートゥ期──悪いダシャーにおいて自由意志はいかに使えるか

今回は、「運命を生きる中で、自由意志をいかに用いるか」というテーマについてお伝えしたいと思います。

 

私は2025年4月24日から、土星/ケートゥ期に入りました。土星は困難や障害、ケートゥは喪失や孤独を象徴するため、この時期は全ダシャーの中でも特に困難な時期のひとつであると言ってよいでしょう。

 

しかも、私の出生図において土星は、最大の苦しみを象徴する8室に在住し、ガンダーンタに位置しています。吉星からのアスペクトによる保護もありません。ナヴァムシャ(D9)でも土星は8室に在住し、減衰しつつラーフとコンジャンクションし、ここでも吉星の加護は得られていません。

 

唯一の救いは、出生図において土星が1室(ラグナ)の支配星であることです。しかし、同時に1室の支配星が8室に在住するという配置は、さらに困難を強めるとも解釈できます。ナヴァムシャでは減衰土星によるラージャ・ヨーガが成立しますが、減衰という本質的な弱さを伴うため、やはり困難の色合いは消えません。

 

理論上、この土星/ケートゥ期は、私にとって「最悪」といっても過言ではないダシャーです。

 

実際、過去の木星期のアンタル・ダシャーにおける土星期およびケートゥ期は、私の人生の中で最も苛烈で、精神的に追い詰められた時期でした。つまり、理論的にも経験的にも、土星/ケートゥ期は困難であると考えるのが妥当です。

 

特に、前回の木星期のケートゥ期には、瞑想の深化によって強烈な苦しみの感情が湧き上がり、精神が崩壊しそうになりながらも、なんとかギリギリで乗り越えた記憶があります。しかもそれは、ケートゥ期が始まった“その日”に起こりました。その正確さに衝撃を受けたことを、今でも鮮明に覚えています。

 

それ以来、今回の土星/ケートゥ期に備えて、私は心身ともに万全の準備をしてきました。ここまで読まれた方は、きっと「相当大変な時期にあるのだろう」と想像されるかもしれません。

 

しかし――実際はまったく違いました。

 

この文章を書いている今、私は人生の中でもっとも幸せを感じている時期にいます。「もしかして私の読み方が間違っていたのでは?」とすら思い、ChatGPTに尋ねてみました。

 

その回答は、「土星/ケートゥ期は執着を手放すことが求められるため、非常に重苦しい時期となる」とのこと。やはり理論的には「悪い時期」のはずです。

 

では、なぜ私はそうなっていないのか? その答えはとてもシンプルです。

 

私はヴィパッサナー瞑想に出会い、21年にわたって瞑想を継続してきました。その過程で、執着や怒り、不安などのネガティブな感情を少しずつ手放してきました。

 

さらに2年前には、トンレン瞑想という、エゴや執着を一気に粉砕するような非常にハードな瞑想にも取り組みました。その実践の成果として、今の私はかなりの執着を手放せているように思います。20代の頃と比べると、感覚的には80%以上の執着を解放した実感があります。

 

そのため、ケートゥ期に入った今、「手放すべき執着」があまり残っていないため、苦しみの発生源そのものが少ないのです。むしろ、「残ったわずかな執着を根こそぎ手放そう」と前向きに構えて、この時期を迎えることができました。

 

結果として、ケートゥ期に入ってからは、仕事の時間を調整し、瞑想の時間を増やせています。瞑想をすればするほど、内なる幸福感が増し、まるで生きていることそのものがありがたく感じられるようになりました。

 

とはいえ、現象面ではやはりケートゥ期らしい出来事もありました。例えば、クレジットカードの15万円の不正利用。危うく大金を失うところでしたが、冷静に対応し、1時間ほどで解決しました。その後も気持ちを引きずることなく、午後には心の平穏を取り戻していました。

 

改めて思い出されるのは、かつての辛い時期は、私の内側にあった不安・怒り・妬み・恐れ・欲望といったネガティブな感情や執着が原因だったということです。仮に今の自分が過去の出来事に戻ったとしても、ほとんど苦しまずに対処できると思います。すべての原因は内にあった――それが今でははっきりと理解できます。

 

もし、私が瞑想を続けてこなかったら、今ごろとんでもなく大変な事態になっていたでしょう。些細なトラブルにも動揺し、怒り、混乱し、後悔していたに違いありません。

 

けれど今の私は、多少の緊張や焦りを感じたとしても、ほとんどの問題に即座に対処できます。よほどの事が起こらない限り、大きな混乱には至らないでしょう。

 

インド占星術に出会った当初、「星は魂には影響できない」という言葉を耳にしましたが、今ようやくその意味を実感として理解できるようになりました。

 

どんなに悪いダシャーであっても、私たちは反応の仕方を選ぶ自由があり、心の平安を保つことは可能です。星の悪影響が現象として現れることは避けられませんが、それに翻弄されなければ、大きな問題になることはありません。

 

この先、何が起こるかはわかりません。けれど、執着とエゴを手放すことができれば、たいていのことは大した問題ではなくなります。

 

インド占星術を深く学ぶと、運命の存在が明らかになります。それによって未来への不安が強まることもあるかもしれません。しかし、その理解が深まるほどに、不安は逆に小さくなっていきます。

 

そして、瞑想を深め、執着を手放していけば、心の平穏と幸福はさらに確かなものになっていくのです。

 

この土星/ケートゥ期という困難な時期を、残る執着と欲望を徹底的に手放す機会としてとらえ、最高の時間に変えていきたいと思っています。

 

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