ジョン・ロックフェラー1世に見る人生の目的

ジョン・ロックフェラー1世に見る人生の目的

村上幹智雄 -ミチユウ-
村上幹智雄 -ミチユウ-

ジョン・ロックフェラー1世にみる人生の目的

今年11月から始まったコンサルタントのためのインド式運命学講座。この講座では職業と仕事運について徹底的に研究しています。働く意味、人生の目的とは何かを理解するために、様々なホロスコープを検証しています。その中で、とても興味深く、私にとって謎だったジョン・D・ロックフェラーについて検証してみました。

 

彼は世界的に有名なロックフェラー財閥の一代目。人類史上最も成功した実業家の一人です。私にとって謎だったのは社会貢献や寄付をしながら、ビジネスでは冷酷で手段を選ばないように見える一見矛盾した人間性はどこから来ているのか。その謎が彼のホロスコープを見ることでよくわかりました。

 

彼の出生時間はアストロデータバンクを見ると真夜中の少し前ということで23時55分と出ています。そうするとアセンダントは牡羊座となります。ただ、このアセンダントだと経歴と一致しません。そこで、子供や孫、子供の配偶者などから相関関係を辿り、魚座と牡羊座どちらのアセンダントか導き出しました。そのプロセスについて書くのはあまりにも複雑なのでここでは省略しますが、結論は十中八九、魚座アセンダントだろうということになりました。

 

 

ここでは魚座アセンダントということで分析していきます。彼は信仰心の篤いクリスチャンです。給料の少ない若い頃から収入の10%を寄付をするという慈善的なことをしています。

 

子供の頃は音楽家になりたいという思いも持っていました。これは魚座アセンダントの感覚感性の人間として、才能ある分野の一つです。一方で彼は、経理の計算が得意でした。それは1室の支配星が、経理が得意な乙女座に在住し、論理的な火星とコンジャンクションしているところに現れています。

 

彼は前半生、20代の頃から石油事業で成功し億万長者になります。石油のような液体を扱う仕事を選ぶのもまた魚座の水の星座の特質です。

 

彼は20?36才は木星期です。この木星は1室と10室を支配し、2室と9室支配の火星とコンジャンクションし、強力なラージャ・ヨーガとダーナ・ヨーガを同時に形成しています。自分自身を表す1室の支配星と社会のための仕事を表す10室支配星が、成功と名声を得るカーマ・ハウスである7室にあることで、仕事を通して、成功と名声を得ることを求める傾向が現れています。

 

また、火星と木星のコンジャンクションはグル・マンガラ・ヨーガであり、自助努力による成功と大きな投資やチャレンジをすることを示しています。彼は黎明期の石油事業に周囲の反対を受けながらも全財産を投資して、事業を成功させています。正にこれはグル・マンガラ・ヨーガの現れた行為です。また、彼は神が自身に、お金儲けをする才能を与えたと信じています。それは2室と1室、9室と1室の組み合わせによるダーナ・ヨーガによるものです。

 

また、このような大成功、莫大な富を得て、貯蓄したのはなぜでしょうか。普通の人間はお金持ちになりたいと思っても、ある程度のところでもう十分だと思うものです。彼のように多くの飛び抜けた大金持ちになる人は、貪欲な欲望を表すラーフの影響が顕著に出ています。彼の場合、魂や自我を意味する太陽にラーフが5番目のアスペクトを形成しています。それが2度以内の緊密なオーブで120度アスペクトになっているため、飽くなき欲望、貪欲な傾向が表れてきます。

 

しかし、彼は大富豪になりましたが、お金が自身を幸せにしてくれることはなかったと言っています。それはラーフが恐怖心も意味しているからです。心理的に想像すると、心の根底には不安や恐怖心によって心が満たされず、その満たされない心を、現世的な富を貪欲に得ることで満たそうとしているのだろうと思います。けれども、それは決して人を幸せにすることはありません。私達はお金持ちというと羨ましく思いますが、その中には根底にはこのラーフの不安や恐怖心の影響がかかっている人も多くいます。

 

彼はアメリカの石油市場で密約や買収を駆使して、1882年にはアメリカの石油市場の90%以上を支配する石油王となっています。買収に応じない相手には苛烈な競争を仕掛けて、倒産に追い込んでいき、「潰し屋」「追い剥ぎ貴族」などと呼ばれるようになりました。これは、アセンダントがおそらく冥王星と近い度数にあり、冷淡、冷酷なこともできる人間性が表れています。また、1室と1室支配星が火星の影響を受けているため、狡猾で攻撃的な側面が表れています。それでも木星期の次の土星期は、富と成功を意味する11室支配星が9室に在住するため、さらなる成功を収めることになります。この土星は蠍座でもあるため、この時期は非道いことができたのでしょう。

 

そして、このダシャーの最後の土星/木星期に、遂に病気となり、余命1年と宣告されます。このとき、初めて、「人生は、お金が全てではない」と悟ったといいます。今まで、10分の1献金など、模範的と思える行動をしてきましたが、結局、「自分のために」やってきたことだと気付いたのです。この病気を機に、引退を決意し、これからは、「自分の財産を人類の福祉のために用いて、世界一の慈善事業家になる」という決断をしました。

 

この時、水星期が始まります。水星は自己実現を意味する5室の蟹座に在住し、このダシャーを慈善事業を通して、魚座の慈善精神を発揮していきました。

 

慈善事業家として彼やその一族が残した偉業は、主に、教育、医療、文化の復興です。以下が、その一部です。

 

○シカゴ大学の創立を含む全米24箇所の総合大学の支援
?○一般教育委員会(General Education Board, GEB)の設立?
○ロックフェラー財団の創設?→当財団の研究スタッフに、野口英世もいて、その研究費の助成。
?○ロックフェラー医学研究所、ロックフェラー大学の設立?
○ロックフェラーセンターの建設?
○数千もの教会の建築(NYの有名なリバーサイド教会もそうです)?
○国立公園や国際連合など設立するため、無償で土地を提供?
○ニューヨーク近代美術館(MoMA)の建設?
など

 

こうして、占星術を通して、彼の人生を見ていくと彼のした慈善事業は偽善というわけではなく、彼の本心だったのだろうとうかがい知ることができます。陰謀論では資本主義の巨悪の根源の象徴のように批判されるロックフェラーですが、善良さと狡猾さ、多面的な側面を見てとり、客観的に理解できることは本当に面白いことです。